十六日祭に親族であつまったとき、叔父が写ルンですを持ってきていて、宮古島にもフィルム現像できるお店が残っているんだなあと思っていたところ、叔父は現像を頼むと言って帰ってしまった。
さいわい下里通りを平良港へとくだる坂のとちゅうに、フィルム現像と書いたのぼりが立っているのを覚えている人がいて、話をたよりに訪ねたところ、フィルムが数枚残っていますが大丈夫ですか?と聞かれる。
最近はあえて使い捨てカメラで撮ってみるなどという懐古趣味がどこかそこらで流行っているのだとか。フィルムを撮り終えてから再度訪ねることにした。
下里通りからイーザトの裏通りなどふらっとしながら、気になる一角でシャッターを切る。カチっとこれまたチープな音がする。ピントをあわせるという概念もないし、露出もカメラにおまかせ。
前々からたたずまいが気になっていた商店のそばを通りかかると、ハトが店内の出入り口で涼んでる。おもわずカメラを向けて、水平垂直もままならないうちにシャッターを切った。
デジタルカメラなら枚数など気にせず撮り直せばいいのだけど、これが最後の一枚だった。
ふたたびショップに戻り、ポケットのなかの使い捨てカメラを店主に手渡した。週明けの受け取りまで、何がどう写っているか分からない。もどかしいけれど、昔はそんなもんだったかな。
古いフィルムカメラをまた引っ張り出して、もう一度フィルム写真を撮ってみようかと、楽しみがひとつ増えた昼下がり。